音のある場所

今日もお疲れちゃん

BLARE FEST2020 2日目

 

 

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2日目の朝。

目覚ましもかけずに寝て午前8時に無事起床。

否、PTPの物販を買おうって友達と約束して7時に会場着く予定だったが完全に出遅れ。

すまねぇ…と思いながらTwitter見たらすでに物販待機列が凄いことになっていた。

友達からのlineをごめんと返す。

そしてもう一件、別の人からlineが来ていた。

寝ぼけていたのが一瞬で覚める。

「ブレアフェスいんの」

昔少しだけ付き合ってた人からだった。

最悪の目覚めでなんで今日に限って、と思った。

良い思い出もあるけどこの人に出会わなければ人生変わってたかもしれない。

それが良い方向か悪い方向になるかはわからないけれど笑

とりあえずline返してシャワー浴びる。

朝食はホテルの無料サービスがあったけれど、食堂が混み込みだったから近くのコンビニへ。

のそのそと着替える、この日はワンオクとPTPの対バンのときに売っていたバンT、

そして下はnineのディッキーズ、STANDZのバンダナを腰から下げる。

チェックアウトをしたのは午前10時で2日目のトッパーであるサバプロにはもう間に合わない。

そして体には昨日の疲労と、余韻が残っていて頭もぼーっとしていた。

さらに死ぬほど見たかったPTPが見れる。

そう思うだけでなんだか今日は身に力が入らない気がした。

 

まっすぐ会場に向かおうか迷ったけれど、名古屋に来て行きたいところがあった。

名古屋のタワーレコード

ちょうど先日、名古屋でミクスチャーロックをやっているTATAMIBOYというバンドがCDを出した。

去年の夏にArea81というバンドに同行して彼らの自主イベントに参加した。

STANDZも毎年出ているイベントで去年はArea81にサポートボーカルとしてKazuyaさんだけが参加。

長年の盟友みたいな感じだと思う。

全国にそういうバンドがいるから遠征も楽しい。

そんな彼らのバンドが、あのタワーレコードでCDを販売。

名古屋の店舗限定だけれど、それもレぺゼンという感じでありだと思う。

タワーレコードに入ると大きくポップ展開されていて、大々的に紹介されていた。

CDを買うといえばやっぱりタワーレコード

名古屋にまで来てタワレコでCDを買うのは本当の音楽好きという感じがして少しニヤケた。

かっこいいバンドなのでぜひ。

 

駅に向かって昨日と同じあおなみ線に乗る。

トッパーの時間はとっくに過ぎていて電車の中は昨日より空いていた。

Twitterを眺めてると相も変わらず物販の列が凄いのと、高額転売がすでに出されていて烈火のごとくみんな転売屋をたたく様子がネットの中では繰り広げられていた。

せっかくフェスに来てるのにSNSにかじりついてまで嫌なものをあえて見つけて、ごく少数を叩きに叩いてる様はちょっと気味が悪かった。

とはいえ、自分もSNS見てる時点で同じ穴のムジナなのかしれない笑

一番悪いのはもちろん転売している人たちなんだろうけど。

燃え上がってる様子を見る限り、転売されている商品がすごく価値のあるようなものに見えてくる。

需要があるということの証明にもなってしまって、逆に転売屋にとっては叩かれようが捕まらなければ売る価値あり、と判断されるだろう。

誰も触れないで見もしない買いもしない無視が一番撲滅に効果的なのでは?と考えていたら会場に着いた。

これ以上ないくらいのワクワク感と、この朝からの出来事でモヤモヤもしていた。

 

朝から連絡を取り合っていた友達と合流。

フェスの中ではトップクラスであろうフードエリアのテーブルと椅子の数。

座れないなんてことはなかったんじゃないかな。

たくさんある中から友達がいるテーブルを見つけると、そこには一年ぶりくらいに会う人もいた。

昨日までとは変わり、この2日目はたくさんの人と出会うことになる。

一日目の感想を話したり飲んだりとライブは見ずにだべる。

もったいないかもしれないけれど、こういう遊び方ができるのもフェスの魅力の一つ。

なにより顔なじみである人たちはあのときみんな同じ気持ちだったと思う。

PTPがこのあと見れるというソワソワ感。

ライブをやっているバンドにとっては苦い気持ちかもしれない。

目の前のライブを見てほしいのに、のちに控えるバンドに気を取られてどこか上の空。

みんながみんなそうはならないと思うけど、あの日の自分はもう期待感だけでおなかいっぱいだった。

ただただのんびりと会場の人を眺めていた。

朝から並んで買ったPTPの物販を着ている人たち、昔からのグッズを着ている人たち。

どこにそんなにいたの?ってくらいみんなPTPだった。

 

とは言っても、フードエリアにいるとサンダーステージでやっているライブが丸聞こえ。

NOISEMAKERのライブが始まり、ちょっと見たくなって覗きに行った。

入口まで人だかりができていて、NOISEMAKERも圧巻のライブをする。

NAMEではみんな飛んで跳ねて楽しそうだった。

あんなに遠くからNOISEMAKERを見たのは初めてかもしれない。

戻ってやっぱりNOISEMAKERかっこいいな~とか思いながらそろそろ移動開始。

友達とウォーターステージの方へ移動。

外に出て向かうと喫煙所のとこで見知った顔に出会う。

前に書いたcoldrainの新木場ワンマンのとき、帰りにビラを配っていたら声をかけられた。

新しいバンドを仕込み中だと言っていた人。

ここで出会うのも偶然なのだが、実は数日前STANDZと対バンした。

こんな偶然あるのか~とあの日は心底驚いた。

そのバンドのギターがかくかくしかじかで、まあそのうちみんな見れるでしょう笑

ぜひまたライブを見たい。

喫煙所前で出会ったのはその人だけじゃなく、あの日対バンしたバンドメンバーもいた。

こないだは~みたいなやりとりを一人ずつして、今日はめちゃくちゃ楽しみですねと盛り上がる。

立ち話に花を少し咲かせながらそのままみんなで会場へと向かって、中で別れた。

 

ウォーターステージではMONOEYESがライブをしていた。

後日ブレアフェスでの感想をいろんなところで目にしたけど、あの日のMONOEYESめちゃくちゃかっこよかったらしいね。

しっかり見とけばよかった~とちょっと後悔しつつも同じ時間で、自分は人と会って話をしていたのだからそれはそれで良し。

反対側のファイアーステージではCrown The Empireの出番。

1日目に引き続き海外のバンドを見れることにテンションがあがる。

下手側の前の方に行き、がら空きになっているスペースで観た。

大きいステージがぴったしという感じでめちゃくちゃかっこよかった。

3月にはノットフェスやダウンロードといった海外勢が来るイベントがてんこ盛り。

※今書いてる3/12時点で軒並みほとんどの来日公演が延期・中止。コロナを絶対に許さない。

 

Crown The Empireを見た後、またうろうろして徘徊。

SiMの出番になり、一曲目から「kiLLING ME」で大盛り上がり。

DPFの主催をやっていたりとフェスの主催バンドとしてはcoldrainより先輩となる。

MCの煽り方も会場の沸かし方も熟知しているようだった。

スタートの2曲が「KiLLING ME」と「Amy」だったのは個人的にめちゃくちゃ嬉しかった。

SiMに出会ったころの曲で、学校へ行くときの満員電車の中で死ぬほど聴いてた。

SiMにとってもこの2曲が世に知らしめるきっかけとなっていると思う。

PTPという先輩バンドがのちに控えていることもあって、自分たちの原点を見せつけているかのように感じた。

 

そんなSiMを見ながら、昨晩一緒に飲んだ人たちと会場内で出会う。

ちょっと話しながらまた離れて、今度は今日来た時の人たちと話す。

橋渡し的な感じでお互いを連れて行って初めましてのあいさつをしてるお知り合いたち。

そういえば北海道のときもこんなことあったなぁと思いながら1人でSiMを見届けた。

SNSで繋がることはあっても、いざ現場で初めましてってちょっと気まずい。

自分が中間に立って仲介役になる不思議さを感じた。

 

どんどん迫ってくるPTPの出番。

みんな10-FEETを見ていたけど、じっとしていられなくてタバコ吸ったり会場内をうろうろしたりと1人で過ごす。

 

トイレに入ったらPTPのシャツを着てバンダナを頭に巻いてる人がいた。

手洗い場の鏡の前でバンダナを整えていてる。

見知らぬその人の姿を見て、きっとみんな同じ気持ちなんだなって思えた。

 

うろうろしたままサンダーステージにたどり着く。

lynchがライブをしていた。

今までライブを見たことなかったから今回見てみたかったバンドの一つ。

PTPのgeneで葉月さんも参加している。

所縁があるのなら見届けとくべきだと思っていた。

ライブでは初めて聴く曲ばかりだったけれど、素直にかっこいいなと思った。

バンギャたちが大勢いて、一心不乱に頭を振っている。

その姿がいつも見ているライブとは大違いで、圧倒。

MCでもライブと言えば頭を振ること、とお客さんをあおり、一斉に動き出す。

何が凄かったかって、頭を振るタイミングのときにお客さんが隣の人の位置を把握してぶつからないようにすぐ間隔を空けたこと。

その動きがまるで軍隊並みの動きだった笑

 

いいもん見たな~とか思いながら再び大きいステージに戻る。

10-FEETの番が終わり、ONE OK ROCKの待機で人がいっぱいになった。

自分もワンオクを見届けようと前の方に進んでいく。

ずっと会場中に音が鳴っているんだけど、どこか遠くでなっているような。

自分の心臓の脈打つ音だけが異様に聞こえていた。

この2日間でたくさんの音楽を生で聴いたし、見てきた。

ものすごい速いスピードで今を生きているような、周りの空間すらもすぐさま通り過ぎていく感じ。

急に目頭が熱くなる。

すると耳に知っている音楽が流れてきた。

Avril Lavineの音楽だった。

まさかここにきて会場のBGMで自分が中学のときに死ぬほど聴いていた音楽が流れてくるなんて、奇跡だと思った。

それこそ洋楽を聴くようになった原点、Linkin ParkとAvrilは自分にとって原点なのだ。

高校のころの日本のロックバンドにハマったきっかけがワンオク、SiM、coldrain、そして夢を失ってフリーターになってどうすればいいかわからなくなったときに出会ったPTP。

今までの人生で触れてきた音楽のすべてがこのフェスに詰まっているようなそんな感じだった。

 

会場のBGMがONE OK ROCKのSEに変わる。

大歓声とともに現れる4人。

最新のアルバムから一曲目、「Eye of the Storm」

あの頃聴いていた音楽から進化をし続けた証を一発目で見せられた。

 続く「Taking off」で涙腺崩壊。

初めて聴いたときは衝撃的で、一日中毎日この曲を聴いていた。

和訳した歌詞と自分を照らし合わせて、感情移入していた。

今までワンオクのライブは遠くからしか見たことなくて、前の方で見れたことにも感極まっていた。

「We are」3曲目で始まったこの曲はもうただただ歌が上手いのと、みんなの声で大合唱になるところはハイライトだったと思う。

色んな感情が高ぶってきたのに対して、体がしんどくなってしまった。

前の方から後方に下がり、モニターでライブを楽しむ。

改めてONE OK ROCKというバンドの大きさを感じた瞬間だった。

最後まで見届けて思ったのが、セットリストがほとんど新しいものばかり。

「The Beginning」よりも前の曲たちはやらなかった。

ある意味、SiMと真逆。

このあと出てくるPTPのことについてもあまり触れずにいた。

それは彼らなりの意思表示だと思えた。

たくさんの曲を生み出してきたバンドが、一本のライブで演奏する曲は限られている。

その限られた時間の中で選ぶセットリストというのは、見ている側が思っている以上にバンドにとっては大切なモノなのかもしれない。

あの日、ONE OK ROCKのライブから感じられたのは常に前を向いて進んでいくよ、進んでいるよってことだと個人的に思った。

最後にやった「Wasted Nights」はもうCD音源並みの上手さ。

これからも見せてくれるだろう景色を楽しみにしている。

 

このポートメッセという場所で本来ワンオク自身のツアーでステージに立つはずだった。

ボーカルTakaさんの体調不良により、ライブは延期に。

そのことについてもMCで触れていた。

またこの場所に帰ってくると。

ワンオクだけでこの会場を埋めることができるというのが改めて凄さを感じた。

 

ワンオクが終わったあと、彼らの完璧ともいえるステージに余韻を感じていると次がPTPの時間がやってくる。

震えた。

前の方に詰めて行き、 待機する。

いろんな人がいたと思う。

いつもいる友達、地方から来ててライブの時に出会う友達、家族、恋人、それぞれが誰かとライブを見ようとしている。

あの日、たくさんの人と会場で出会ったけどPTPのライブは1人で見るって自分の中で決めていた。

ファイアーステージにPay money To my Painと描かれた幕が上がる。

何度も何度も見たその幕。

でも一度だって生で見たことはないその幕。

機械を通して見ることしかできなかったあの幕が今、自分の目を通して見れている。

その事実だけに興奮して涙が目に溜まる。

ステージにはいろんな人が準備をしていて、それをずっと眺めているあの時間は今までに味わったことがない緊張感があった。

ずっと見ているとお洒落なキャンドルが置かれてそれが光っていた。

間違いなく今夜、何かが起きる、いやもう起こり始めている。

 

どんなライブをするのか。

インストとしてボーカルなしで演奏するのか。

ゲストボーカルを招いてライブをするのか。

Kさんの声を流してそれに合わせてライブをするのか。

ただ一つ、確実にわかっていたのはボーカルの『K』さんという人はこの世にもういないということ。

今回のブレアフェスにPTPが出るとなって、複雑な気持ちを抱いていた人たちもいた。

みんながみんな喜んでいるわけじゃない、

それでも大きな盛り上がりを開催前から見せたのは間違いない事実。

KさんじゃなきゃPTPのフロントマンは務まらないと誰もが感じている。

Kさんがいなくなって一年後の2013年にやったZeppのライブを生で見た人たちは、それを目の当たりにしたと思う。

ならなぜこんなにも盛り上がりを見せたのか。

単純に生のPTPを見たことない人の方が多くなって、もう見れないバンドのはずなのに今も世の中にファンが増え続けている。

すごいことだよなぁ。

 

周りの声が聞こえる。

会場は今か今かとPTPが出てくるのを待つ。

どんなライブするのかな、やばい、楽しみ、いろんな声が周りから聞こえてくる。

すると大きな音ともに、目の前にある大きなスクリーンが光った。

出てくるアーティストを紹介する映像が流れる。

Pay money To my Painアー写が映し出された。

一斉に歓声が上がり、拍手が起こる。

スクリーンは一度暗転すると巻き起こるPTPを呼ぶ声。

SEで「Ligarse」が流れて再びスクリーンが光る。

マリア象のロゴが大きく映し出されて昔のライブ映像がゆっくり流れ、Kさんの写真やMVのワンシーンと次々に入れ替わっていく。

スクリーンがステージを映し出すと、メンバーがステージに出てきた。

PABLOさんを筆頭にスクリーンの中でメンバーが1人ずつ紹介される。

ステージと映像を交互に見る。

凄かったね。

メンバーそれぞれが今は違うバンドをやっている。

だから3人ともライブをしているのは見たことあった。

それなのにあの日見た3人は間違いなくPay money To my Painだった。

PABLOさんがステージに立った時、ギターをスタッフから受け取って、正面に向いた時、ニヤッと笑った気がしたんだよね。

初めて本物のPABLOさんを見た気がした、というより初めてPay money To my Painのギタリストをステージで見たって感じかな。

あの表情を見た時にゾッとしたくらいの畏怖。

T$UYO$SHIさんもThe BONEZで見た時とは全く違う雰囲気が漂っていて、この人も紛れなくPay money To my Painなんだなって。

The BONEZとして一緒にやってるZAXさんも同じで見せ方というかバンドが変わるだけでこんなに違うのかと見てわかる。

そして最後にボーカル、Kさんがスクリーン上で紹介されて再び大きく歓声が上がる。

楽器隊が揃い、生の音が鳴り始める。

3人を映し出すように後方から白いライトが当たって「Ligarse」を肌で耳で目で感じた。

Pay money To my Painのライブが、始まった。

 

 

こんな風に今は思い出してエモーショナルに書いてるけれど、現実はあの最初だけで涙と鼻水で顔がグシャグシャだった笑

思い出すだけでゾクゾクするね。

戻りたい。

 

「Ligarse」が流れている間、スクリーンにはgeneのジャケ写が映っていたからすぐに理解した。

BLARE FEST SPECIAL LIVEと掲げて白い文字で『gene』と映し出される。

ステージ袖からcoldrainからMasatoさんとlynchから葉月さんが登場。

さっきlynchを生で見といて良かった〜と思った。

2人のボーカルが参加してCDに収録されている「Resurrection」を一発目に披露。

何度も思うけど、geneの楽曲がライブで楽しめる日が来るとは夢にも思っていなかった。

一曲目から激しい人もいたけど、大体の人は見守っているに近い感じだったと思う。

この目に焼き付けようと必死。

憧れてたバンドが活動の休止を余儀なくされて、そのバンドを自分の手でライブという場所に引っ張ってきて同じステージで歌う、そんなすげえなことが今目の前で起っている。

あの瞬間、Masatoさんにしか味わえないものがあったんだろうな。

 

2人が捌けて何度も聴いたあのイントロのリフが流れる。

これを聴くのどれだけ心待ちにしたか。

うおおお!って周りと一緒に声をあげる。

SiMからMAHさんが登場。

YouTubeに上がっているモンスターロックでのカバーしたライブを思い出す。

そのまま何度見たかわからない憧れたアレが自然と発生。

人がいっぱいで見えなかったはずの地面がすうーっと姿を現して人の壁が出来上がる。

『ウォール・オブ・デス』そう呼ばれるライブにおける激しい行為。

PTPのMVでやっていて憧れたあの景色。

MAHさんの歌い出しと共に向かいの人の壁に向かって走り出した。

「Weight of My Pride」

自分でも泣いているのか、笑っているのか、よくわからない感情でWODに突っ込んでモッシュやダイブしてる人を前に送る。

Kさんに届くように拳を高く突き上げ、歌う。

とにかく、とにかくみんな楽しそうだった。

俺もめちゃくちゃ楽しかった。

夢が叶う瞬間というのは、あんな感じなんだね。

 

そのままドラムの音から「Respect for the dead man」が始まる。

Crossfaithから2人、ROTTENGRAFFTYからも2人。

アルバムgeneの中でも激しいこの曲でサークルピットができて暴れる暴れる。

初めてサークルに参加した。

アレの何が楽しいんだよってずっと思っていたんだけどなんか走りたくなった。

ステージをずっと見ていたいけど、そんなのお構いなしにPTPの音楽が生で鳴っている空間にいてライブを楽しめる。

こんなに幸せなことはない、って思いながらハーコー。

荒れ狂っていたと思う 。

この一回しかないんだ!って思ったら、じっとなんかしていられなかった。

 

怒涛のライブは進んで、MCの時間。

メンバーが1人ずつ話した。

ZAXさんは繋がりに感謝と、T$UYO$HIさんは大切な人の手は離さないようにと、PABLOさんは今日ライブができたことの奇跡を。

 

ほぼほぼ意識が飛びかけていた。

まさにユメウツツ状態。

自分自身が録画機能のついてるカメラだったらいいのに、って思いながらあとでこのMCを少しずつ忘れてしまうのだろうな、と思ったら寂しくなった。

現に、書き出している今、ほとんど覚えちゃいない。

悔しいなぁ。

そのためにライブ終わったらすぐに書き出すのがベストなんだけどね。

 

綺麗なギターだけのイントロが流れる。

何回聴いただろう。

何回この光景を夢に見ただろう。

ステージの袖からサバプロのYoshさんとノイズのAGさんが出てくる。

「Pictures」

サバプロを知ったのもTwitterでYoshさんがPTPを弾き語りしていた動画を見たから。

ノイズもYouTubeに上がっている昔のライブ映像にKさんが映っているというので知った。

2バンドともPTPが引き合わせてくれたと言っても過言じゃない。

最高にかっこいい2人のボーカルがPicturesを歌ってくれた。

思い思いにみんな聴いていただろう。

 

Picturesの中盤、みんなが思い思いに体を音楽に乗せて動かしていた。同じように自分もライブを楽しんでいたら後ろから誰かに体を引っ張られた。

今朝ラインが来ていた人からだった。

絶望だった。

 

力強くTシャツを引っ張られた先にいたのは、満面の笑顔を浮かべたイニシャルが「K」の元・恋人。

それに対して、俺の顔は石みたいに固まっていたと思う。

自分の周りの音がすべて消えて何も聞こえなくなって、時間が数秒と止まり、世界が停止したと思った。

向こうは何か話しかけてきたみたいだったが、止まっていた時間が動き出したみたいでPTPの爆音でその声はかき消された。

声にならない返事をして俺はすぐステージのほうに向きなおった。

 

一番楽しみにしていた日に、もう二度と来ないであろう日に、一番会いたくない人と会ってしまう。そんな自分の悪運の強さにただただ茫然とするしかなかった。

Picturesラストのシンガロングはみんな拳を突き上げて叫んでいたが、あの会場で一番弱々しく拳を突き上げて声にならないシンガロングをしていたのはきっと自分だけだっただろう。

とにかく、自分のすぐ背後に過去の人がいるという現実に落ち着かなかった。

 

そして、きたる「Voice」

T$YO$HIさんからスマホの光をかかげて欲しい、と 言われ会場の全員が手に持っているスマホを空へかかげ、ライトアップする。

Takaが出てきて、歌う。

これをどうしても生で聴きたかった。

夢を見ているようだった、むしろ夢が現実になった瞬間だった。

いろんな思いがあふれ出てきて、今だって背後に過去の人がいる。

全てに押しつぶされそうで自分は手を降ろした。

そして後ろを振り返って、会場の一番後ろまで下がっていく。

 

すると不思議なことに、前を見ているときには気づかなかった景色がそこにはあった。

その場にいたときは気付かなかったけど、みんなと真逆を向いて歩くとそれはステージにいる人たちと同じ方向だということに気づく。

すごくきれいな光の道みたいだった。

 

明るいハズなのにどこかくらい、これがあの人が見ていた景色なのかな?
「光の中にまっすぐ歩いて行って、絶対に」

そんな声が聞こえた気がした。

 

そして、周りには誰もいなくなった最後尾の場所で、広々としたステージを眺める。

後ろから見たら、こんな景色だったのか。

すごくすごくきれいで、そしてPay money to my Painというバンドのライブの空気をこの目で、耳で、肌で感じることができた。

ただ1つ、欠けているものはあることすらも感じた。それが悲しくて悲しくてたまらない。

そんな思いを代弁してくれるかのように、Takaが歌うVoiceは空いた心の穴に落ちていく。ただただ涙が止まらなかった。

 

ステージからTakaが去っていくと、モニターにはRainのあの場面が。

中越しでも会場の全員が泣いているのが分かる。

汗なのか、涙なのか、体から雨が降っているような不思議な感覚。

体が冷えて少し寒い。

目を閉じると本当に目の前にKさんがいるんじゃないかって。

でも、目を開けると、センターマイクだけが立っていてそこには誰もいないんだ。

 

きっと、2013年のZeppを見た人はこんな気持ちだったんだ。あの演出で心に区切りを付けれた人もいると思う。

今回のブレアフェスでPTPが発表されても行かないという決断した人たちはきっと、もうわかっているからなんだろうなと今さらながらに思う。

 

最後の曲は「This Life」だった。

大きなモニターにはAIR JAM2011の映像。

みんなが大好きなライブの1つであろう映像を使ってのライブだった。

バンド演奏の生音は聴こえるのに、Kさんの声だけはもう何度も聴いたまったく同じ歌声。それが予定調和の世界で寂しくもあった。

それでも映像の中に映っているKさんの姿はやっぱり相も変わらずとても楽しそうだった。

当時は二日酔いで体調が最悪の状態の参加だったらしいけど笑

 

「これで一歩でも近づけたでしょうか?」

近づいたもなにも、もう痕跡を追えないとこまで来ちゃったよ。

Kさんがいた場所、話していた人、一緒にバンドをやっていた人たち。この数年でたくさん追えた。

生きる理由もなかったけど、もう会えない人がどんな人だったのか知りたくて何も考えずに飛び込んだ世界。

もうここからは後を追う必要もないし、自分の道を生きなきゃいけないんだよね。

 

全てが終わった。

 

1つ悔やむのは、1人の生きているボーカリストが出れなかった。正しくは出なかったのかもしれない。

「illumination」が聴きたかった。

バンド仲間として、ボーカリストとして1番の親友だったろうはずの人がステージには出てこなかった。

もっとも悔しいのは誰よりもきっと本人自身だろう。

「gene」というアルバムで唯一ライブに出なかったのは、JesseさんとKさんだ。

でも、本来だったらKさん1人だけ出られない。それが今回は事件があったからだけどある意味、独りぼっちにはならなかったんじゃないかな。

ステージにたくさん置いてあったキャンドルたちはそういう意味合いを込めての「illumination」だったのかな…

 

ライブが終わり、放心状態のままクロークに向かう。

同じように放心状態になって荷物をゴソゴソやっている友達を発見。

合流して、ため息ばかりつきながらフードコートで力尽きる。

もう一人合流。

ステージではcoldrainがトリを務めている時間になるけど、体が動かない。

ただ会場のほうから一向に音が聞こえなくて、始まっている様子もない。

自分たちが放心状態でとりあえずなんか食べるか~とか言ってる間に起きた出来事をのちのち知った。その現場をちょっと見たかったなと少し後悔している笑

 

十分に休んで、coldrainも見とかないとねの精神で重い腰をあげて再びステージのある会場の方へ。

もう人がいっぱいで後ろのほうまでしっかりぎゅうぎゅうだった。

人混みをかき分けて、帰りすぐ出られるように出口付近の方へ。

1日目も迫力は凄かったが、2日目のcoldrainは激熱だった。

はしゃぐ体力も残ってないからただただ全身に爆音を浴びるのみ。

 

そんな中、ちょっとしか見えないステージを眺めていると目の前にふらっと2人組が来た。

背の高い男性は「ここらじゃあんま見えへんな~」と関西弁で喋っているのがかろうじて聞こえる。

Pay money To my Painのドラマー、ZAXさんだった。

思わず横にいた友達と顔を見合わせる。

何も考えずに後ろ姿に向かって軽くお辞儀をしながら「お疲れ様でした」と静かに声が出てしまった。

すると、爆音のライブ中なのに自分の声に反応してZAXさんが振り返った。

キョトンとした顔で俺と目が合う。

まさか聞こえると思っていなかった俺も少し慌てちゃって、ライブ最高でした。ありがとうございますともう一回お辞儀した。

最高の笑顔を見せながら「ありがとう」と向こうも言ってくれた。

 

まさかだったね。

ライブ後にメンバー本人に感謝を伝えられるって、あんな2万人規模の会場でしかもあの時間にばったり遭遇するなんて。

ブレアフェスはリセールの狭き門からチケットを取ることから、STANDZのライブでPABLOさんとJINさんの新バンドと対バンしたり、geneのライブを見ることができ、最後の最後まで奇跡みたいな日々の連続だった。

 

 

あの日から、2020年は思い出が無くすっぽり抜けてしまっている。

2021年ももう半年経った。空白の年にはしたくない。

これを書き上げることが今必要だったのかどうかはわからないけど、あの日の自分が確かに存在したんだということをここに文字にして残しておきたい。