音のある場所

今日もお疲れちゃん

小さな写真展

 

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11月26日の火曜日。

すっかり日が暮れるのも早くなって17時ごろにはもう真っ暗だ。

寒いからANTIHEROの黒のニット帽を深く被り、同じく去年頂いたANTIHEROの黒のプルオーバーパーカーを着る。

その下には今スタッフをやっているバンドのロゴが入った黒のTシャツ。

今年作ったのに着すぎて少しヨレヨレになっている。

けれど、下に着てしまえばわからない。

なんとなく身に纏っていたい。

ジャケットにはNinemicrophonesのスタジャン。

同じく、Nineの紺色のジーンズを履いて右の尻ポケットにはこれまたバンドのロゴが入った黒のバンダナを差し込む。

気合いを入れたかったわけじゃないが、なんとなくそういう格好をしたかった。

それらを身に纏って出かけたかった。

 

家を出ようと、玄関でナイキの黒のスニーカーを履いているとドアが開く。

ちょうど学校から帰ってきた弟くんがそこには立っていた。

「どっか出かけるの?今すごい雨降ってきたよ、ほら雨の音聞いてみ?」

確かに、開いた玄関から聞こえてくる雨の音は結構な量が降っているのがわかるくらいには聞こえた。

またかよ、と思いつつも行ってきますと弟くんに声をかけて傘を持たずに家を出た。

 

家から駅まではそんなに遠くないから少し小走りで駅へ向かう。

その駅まで行く途中で、今日は何を聴こうかなと思いながら歩く。

だいたい頭の中に音楽が流れてくる、脳内再生ってやつだ。

もう何度聴いたかはわからないその音楽が、当たり前のように再生された。

駅に着いて電車に乗り込んでからイヤホンを耳につける。

車内の騒音が完全に聞こえなくなり、音楽が聴こえる。

そのまま揺られて渋谷に辿り着いた。

 

目的地に向かうためにGoogleマップで調べる。

結構歩くなぁと思いながら歩くこと10分。

やっとそこに辿り着いた。

CHROME TOKYO HUBというお店。

下調べなんか全然しなかったからここがアパレルのお店だとは思わなかった。

HUBなんて名前もついているし、お酒が飲める場所なのかなと思っていた。

全然違った。

どうやら機能性の高いメッセンジャーバッグを主軸としたお店らしい。

今じゃ便利でリュックを使っているけれど、元々はメッセンジャーバッグ派だった自分にとってはちょっとワクワクするようなお店だった。

いつからかリュックばかりが流行りだして、その波に乗るのが嫌で学生の頃からメッセンジャーバッグを使い続けた。

そんなある日、Kjさんが降谷建志名義で始めたソロプロジェクトでStairwayというMVを出した。

そこにはバックパッカーとなったKjさんがいて、メッセンジャーバッグを使っていた。

ほれみろ、時代はメッセンジャーじゃねえか!って1人で盛り上がったのを覚えている。

こんな所にそういう思いを書き出さないと、本当に1人で消化しているだけになるから、笑

店内を回っていたらANTIHEROのロゴが目に入った。

どうやらコラボしていたらしい。

着てきてやっぱり正解だった。 

 

そんな話はさておき。

このお店で今日は写真展が開かれていた。

11月22日から26日まで。

そう、今日が最終日。

数日間開催されていたにも関わらず、ライブがあったり仕事だったりと最終日しか来ることができなかった。

それはそれで後に、良いことに繋がる。

清水義文さんによるポートレートの写真展がそこで行われていた。

 

前に少しブログで書いたことのある人。

 

musicdk.hatenablog.com

 

まさかだったね。

この記事を書いた2週間後くらいかな?

写真展やりますって発表があった。

こういう運の強さは持っていると思う。

強さっていうか惹き?

外出するとだいたい雨だけど。

それもまた身に染みてきて嫌いではなくなっている、腐れ縁みたいな感じ。

そして、これはまた別の話になるんだけれど、フォトのブログを書いた日に清水さんがインスタで投稿した内容にバスキアという単語を見かける。

それの1週間前に左ききのエレンという漫画を読み始めた。

そこで出てきたのがバスキア

そして俺は11月の18日にバスキア展を見に行く。

別に意識も何もしてなかったのだけど、いくつかある糸がうまいように絡まって繋がった。

バスキア展に行った時のこともまたブログに書こうと思っている。

 

話をもう一度戻す。

こじんまりしたお店はガラス越しに店内を覗けるようになっていた。

大きいガラスに写真がいくつか並べてある。

紛れもなく清水さんの写真だった。

お店に入り、店内を見て回って、写真を見る。

何十枚、何百枚とたくさんの写真が飾ってあるわけでなく、お店の入り口に展開されているだけ。

それでも写真を見に来ている人たちがちらほらいた。

自分もゆっくりと、ひとつずつ、見て回った。

白黒の写真のポートレート

写真を見て、かっこいいなぁと思い、一体この写真は誰が撮ったんだろう?と初めて写真の裏側が気になった存在の人。

そんな人の写真展を時間をかけて見た。

写真の横には清水さんの経歴が書かれてあった。

24歳で渡米。

俺も来月で24歳だ。

もしかしたらここが分岐点なのかもしれない。

並んである写真の真ん中には、アルファベット1文字の人がいた。

じっと眺めていると、男の人が声を掛けてきた。

 

「Kくんっぽいすね」

 

こんにちはの挨拶を交わしたあとの言葉がこれだった。

その男の人が紛れもなく、俺が写真を見てすげえなと思った人。

清水さんだった。

自分の格好を見て、そう言った清水さんに対して

「前にも誰かに言われたことがあります」

と俺は答えた。

一年前の春、大阪で。

格好を寄せているからかな?

身長が小さいからかな?笑

そう言われると嬉しい気もするが、俺はKさんじゃない笑

 

Kさんが写っている写真を指して、この時のKさんっていくつくらいですか?と聞いた。

すると、いつだったかなぁとすごく曖昧な返事が返ってきた。

きっと年齢なんて関係ないのだろう笑

そこから清水さんと立ち話をした。

写真展が開催されている期間、在廊しますと言ったのは今日の最終日だけだった。

最終日にしか行けない自分にとってはこれまた嬉しい出来事だった。

 

Kくんと初めてあった時、めちゃくちゃいかついサングラスしてたんだよね。

友達の紹介で会って、家で飲んでたら友達が先に帰っちゃって。

初対面で2人きりになったと清水さんは話す。

すごく優しいやつで、バファリンみてえなやつだよ。

他人が抱えているもの、全部自分が背負い込んじゃう。

Kくんがきっかけでフォトグラファーになった。

俺のきっかけの人。

そう話してくれた。

自分も今、写真を撮ってます。

バンドのスタッフやって今年から撮り始めこと。

その出会いは紛れもなくPTPとKさんであること。

渋谷に来てKさんを知る人と出会い、話を聞いたこと。

ある意味、今の写真を撮っている状況はKさんがきっかけだから俺もおんなじです笑

って言うとじゃあライバルじゃん!って目を輝かせながら言われた。

撮り始めた時期も関係ないって言ってくれた。

そして、Kくんは渋谷のどこにでもいたから色んな人から話聞けるよって笑

 

ライブ写真も撮るけど、本来はポートレートなんだ。

俺がやりたいのはこっちなんだ。

ほんとはもっと写真を置きたかったけど、スペースの問題でこれだけしか置けなかった。

もっとKくんの写真を置いても良かったけど、それだと湿っぽくなっちゃうからね笑

白黒写真で納められた人物はどれも素敵に見えた。

Kさんの話を聞けたことも嬉しかったけど、清水さんが撮る写真談義みたいなことも嬉しかった。

本当ならもっとたくさんお話を聞きたかったけど、それはまだ先のことだ。

今は、写真を生でこの眼で見れた、という現実がとても大切。

 

とても気さくな人で話しやすい人だった。

 

最後に握手をして、写真撮ってもいいですか?と逆に言われて撮った。

自分のスマホにも保存すれば良かったなぁ笑

 

写真展なんて行ったことがない自分が、またひとつの道を知った。

写真を見て、何を思う?

ただ写っているものを見て、感動するだけじゃつまらない。

すごい、かっこいい、綺麗、可愛い、美味しそう。

どれも正解の感想かもしれないが、もっと奥深くまで入り込んでも面白いのかも。

自分も撮る側になったことから、この眼で見た景色や人を撮りたいとより一層強く思った。

思っているだけじゃ意味ないから、撮る。

 

雨は止んでいた。

帰りはSTANDZの音楽を聴いて帰った。

今信じているもの、撮りたいもの。

昔と今で変わっていく。

変えてはならないもののために変わる。

 

 

 

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Thanks.

DAIKI

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の一文は俺の言葉じゃないよ笑

これからをお楽しみに。

 

 

その日の夜、清水さんがインスタライブで何度もありがとうございましたって言っていた。

PTPをかけながら車を運転していた。

この声が、俺のきっかけになった人の声だよ。

流れてくるPTPを聴きながら言った。

遥か遠くの人だと思っていた。

スタートを切ったばかりのような、そんな感じがして俺も頑張らなくてはと思った。

 寄せ書きに、一言。

ありがとうございます、とだけ書いた。

 

 


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