音のある場所

今日もお疲れちゃん

2018年7月13日 STANDZ ONE ON ONE レコ発@渋谷THE GAME

 

二回目のSTANDZ。

アルバムが買えることにすごくワクワクした。

初夏で少し暑くなってきた時期。

渋谷で働きだして慣れてきた頃。

ライブ後に出勤だったけど、何も手に着かなかったのを覚えてる。

 

これもまた、STANDZのスタッフになる前のお話。

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7月13日金曜日


13日の金曜日だ。

街のどこかで何かが起こってもおかしくない日。


平成最後の不吉な日の幕開けだ。

 

眠れなくてNetflixでhideの50th Anniversary 

JUNK STORY

というものを見ていた。

俺は正直このhideという人をよく知らない。

知ってることと言えばギタリストで、XJAPANにいて、若くして自殺したことくらいだ。

だけれどすごい人だとは知ってる。

俺が大好きなRIZEピンクスパイダーがカバーされてたり、最近ではDragonAshでもROCKETDIVEという音楽がカバーされた。


みな口を揃えていう、

今、hideが生きてたらなぁ。

 

朝方にウトウトして、気づいたら寝落ちしていた。

映画は途中までしか見てない。

今はここまで、また今度続きを見ようと思う。


ゆっくり起きて、暑い部屋で攻撃された全身汗だくの体をシャワーで洗い流す。

今日の予定は一つだけだ。

今を生きている人の魂が見れる。

そう思うと自然と口角が上がった。


風呂上がりにギターを手にした。

もう、久方ぶりのギターだ。

爪を見ればすぐ分かる。

この頃弾いてなかったな、ごめんなとゆっくり鳴らす。

すごく気持ちよかった。

平日の昼下がり、何もかも忘れて歌った。

歌うのも久しぶりだった。

hideのBreedingを歌った。


気づいたら時間が来ていた。

行くか、と新しく買ったsubcietyのワインレッド色の服を見にまとい、いつもならバックをなにか持っていくが今日は手ぶら。

財布をジーンズの後ろポケットにねじ込み定期を前ポケットに入れる。

サングラスをかけ、でかける。

ちなみにライブの後は出勤だ。

なぜシフトを入れたのか自分でもよくわからない。


駅に着いてから新しくオープンしたセブンイレブンに寄った。

店員がレジに各2人ずついる。

オープニングスタッフというやつだろう。

禿げたおっさんもいれば学校帰りだろうJKらしき子も働いてる。

その光景の見栄えはイマイチだった。

最近のお気に入りはエッグマフィンだ。

前はマクドナルドの朝マックでしか食べれなかったのが今はコンビニでも売ってる。

これを少し温めて食べるのがなかなかおいしい。

パン生地がパサパサするから飲み物は必須だ。

レジに持っていくと綺麗な女の子がいた。

土屋太鳳と橋本愛を足して2で割ったような感じ。

つまり、俺の好みだ。

そんなことはどうでもいい…


いつものように向かう渋谷の電車の中で温かいマフィンをほお張る。

人の目を少しだけ気にしながらドア側で食べる。

食べ終わったらイスに座る。

そこで4月27日のことを書き綴った。


渋谷についた頃、空がとても綺麗な夕焼け色をしていた。

オレンジというよりは赤に近かった。

思わず小さい電子端末に記録する。

それを電子の世界に放流したら、同じことをしてる人達がたくさんいた。

その中には、少し前に恋をした人もいた。

同じ時間、同じ世界で、同じ空を、場所だけが違うのに共有できるのはなんとも不思議な感覚だった。


ライブハウスに着いた。

ここから先1歩踏み込めばあるのは異世界

俺にとっての異世界

そこに足を踏み入れた。


また怖い人たちが中にはいた。

こわい(笑)

とりあえず初めて足を踏み入れる異世界を見渡す。

目の前にはステージが広がっていた。

怖い人たちを避けながら前に進んでいって横を向いた。

楽屋の扉が開いててKはそこにいた。

目が合ってお互い、おお!ってなって手を振る。

俺は、人に会った時に軽く手を振る。

それが結構好きで、やっほー的な感じのやつ。

ブンブン頭の上で振るのではなく、顔の横辺りでヒラヒラと手を振る。

それは、拳を合わせて挨拶するBーboyのような感覚ときっと一緒だろう。


今日はこのあと出勤だからお酒を我慢して、タバコに火をつける。

すると、オープニングアクトのArea81の出番。

SUBMARINEというバンドで見かけた人がいる。

バンドは解散して、新しく組んだらしい。

初ライブということになる。

かっこよかった。

思えば俺はlife sizeでSUBMARINEを見ていた。

解散してもなおまたステージに立っている姿に感服した。

生きれる場所はここしかねえと。

音に乗って跳ねる姿はまさしく異世界の住人だった。


彼らの出番が終わってまた怖い人たちがウロウロし始める。

ひっそりと1人でタバコを吸ってから前の方の上手に向かう。

ちょうど灰皿が置いてある場所を確保した。

ここなら、よく見える。

流れていたSEが消え、当たりが暗くなり、前に俺と対等に話してくれた人は異世界の人となってステージに現れた。


よろしくお願いします


そう言ってSTANDZの音が爆音で俺の耳に刺さった。


これがMixtureだ

銃撃戦のように言葉が飛び出す。

観ていた現実世界の人達はその銃弾に撃たれて少しずつ歩みを進め、ステージの方に近づいた。


めちゃくちゃかっこいい。

ニヤニヤしてしまった。

初めて観たときよりもなんだかかっこいい。

ワンマンだから?アルバムが出たから?

多分俺が考えてるよりももっともっと深い何かがあるんだろう。


かっこいいミュージシャンたちがいた。

でもペコペコし始めるやつ、

そんなやつとは握手は交わさない。


そのようなことを言ったあとに始まった音楽は、まさに意思が感じられる激しいものだった。


たくさんのバンド名を挙げるK。

たくさんかっこいいバンドがいた。

でも、もういない。

SUBMARINEだってかっこよかったのにもういない。

でもArea81としてまたスタート。

彼らをチェックよろしく。


そう語る姿は、続けてきたバンドだからこそ言える姿だ。


何回でもライブをやりたい


その後も音楽は続き、先日上がったアルバムのトレーラーで聞き覚えがあるものだったり知らないものだったり。


Kは感謝を述べた。

バンドやるとは思わなかった。

Kはそう言った。

友達も多くないし、だから出会ってくれた少ない人たちを…

そう言った時にKはちらりと俺の方を見た。

目が合った気がした。

ライブあるあるかもしれない。

自分と目が合ったと思ってしまう感覚に名前をつけたい。

でも、あのとき確かに俺はKが俺を見てくれた気がしたんだ。


大切な人たちのことを少しだけ語るK

中央に立てたマイクスタンドにスポットライトが当たる。


美しい音楽だった。


empty

という名前だったかな。


先程までとは違った少し落ち着いた音楽。

でも先ほどよりも想いが込められてる気がした。

そして、気づいたら俺は固まっていた。

この詩がどんな想いで書いたのかだれを想ったのか、それが少しだけわかった気がした。

それはきっとあの晩、2人でローカルな町のチェーン店の居酒屋で酒を交えたからだろう。


痕跡


大切な人達のうちの1人。

俺が会えなかった人。

やっぱりこれを聴いてしまうと泣いてしまう。


そして、最後の詩

AFTER SONG


俺はこの音楽を知っていた。

数ヶ月前にKから直接送って聴かせて貰ってたからだ。

そのときは仕事帰りの途中で、まさかまだ未発表の音楽を聴けるとは思わなかったので興奮したのを覚えている。

そしてかっこよくても未発表だから誰にも言えないもどかしさ(笑)

トレーラーが公開されてから、これだー!と1人盛り上がっていた。


この詩はこれでもかというぐらい詰まっている。

ナニカ、が詰まっていた。


【生まれたら必ず死に向かい進むが死ぬためだけに生まれた命はないと願って生きている世界で叫び声も街の雑音にかき消された

生まれたら必ず死に向かい進むがただ死を待つ様に生きたくはない

音ならば精神、言葉は遺書

この人生の先まで残るように歌え】

 

【好きだったミュージシャンは死んでから評価され残された作品は消耗品にされた

大勢の人が好き勝手を言うが

何が歌われていたかは変わりようがないさ】


冒頭でhideの話をした。

今は神格化されてる。

PTPのKさんも、凄かったと周りは言う。


思った。

その人の音楽はその人のでしかないということ。

歌詞に共感したり、解釈したりして、分かった気になる。


全部的外れだ。


その人が書いたものはその人にしか分からない。

他人が軽々しく、口にしていいようなものでは無い。

でも、聴く権利はある。

何回でも何十回でも、何百回でも聴く権利はあるんだ。

ただ、知らない人の音楽を聴くより知ってる人の音楽を聴くのとはわけが違う。

100%解釈したりはできないけど、だからか。

とその人に対して涙することが出来るし、自分もまた見つめ直すことができる。


俺にこの詩を届けてくれたのはきっと想いがあったからだ。


音楽が鳴り止まないうちに言葉という弾が切れたKはステージから消えていった。


そして数人がアンコールの声を上げる。

まだやってねえ曲があるだろ!っ、と観客が激を投げる。

アンコールが始まり、2つの音楽だけをやることになる。


最後はかなり盛り上がった。

人が暴れ出すくらいに。


正しく着火剤の如く。

火が出て燃えているのではないか?というぐらいに叫ぶK。

すごくかっこよかった。


ライブが終わった。

耳の中がまだキンキンしている。

ポケーっとしてからドリンク交換しねえと、と思って並ぶ。

前の客が目の前でコロナビールを手にして去っていくのを横目で見て、俺はコーラを頼んだ。

そして、物販で1枚くださいとSTANDZの1st fullアルバムを買った。

手ぶらで来ていた俺は、それをどこかにしまえるはずもなく、ぎゅっと握って持っていた。


Kが出てくるのを待った。

まだ仕事に行くには時間がある。

やっと出てきたかと思えば、あまり浮かない顔をしてる。

ステージ付近からなかなかこちらに来ない。

他の人と話してたけどそれでもあまり元気がない。

チラチラ見ながらゆっくりと歩み寄って挨拶をした。

すると、膝をついて申し訳なさそうに言った。


もっとやれた。

まだまだだった。


えぇー!うそ、めっちゃかっこよかったやん

マジで、なんで凹んでんの!?

と心の中でめっちゃ突っ込んだ。

心の中で。

そんなこと口にできるわけもない。


アルバムを見て、ここにない曲も、このアルバムを作ったあとに出来た曲もやったんだ。

と言ってくれた。

俺は何度もかっこよかったと伝えた。


なんでこんなに凹んでるのだろうと俺は考えた。

俺が見てきたライブは4月と今日の2回。

どちらもかっこよかった。

でも、STANDZがライブをやってきた回数は俺なんかが思ってるよりずっと多い。

今日のライブだって今までのライブ回数のうちの1回だ。

色々思うことがあるんだろう。

ここで改めて、あぁやっぱり異世界へ行ける人はかっこいいんだと思った。


ツアー、どこか行きます。

そう伝えた。

俺はもっともっとSTANDZのライブを見たい。

だからまた行く。

さて、どこに行こうかなぁ…

もう8割決まってるんだけどね(笑)


そしてKは俺に言ってくれた。

対バン出来たらいいね。


前にもKはバンドやりなよ、と俺に言ってくれた。

あの日から俺はメンバー集めをしていた。

そして、あるバンドに入れて貰えそうで結局ボツになってしまった。

そのせいでだいぶ落ち込んで音楽を聴くのが怖くなっていた。

それでもやっぱり音を楽しんでる姿を見てしまうとね。


社交辞令かもしれないけど、俺にはものすごくその言葉が突き刺さったんだ。

約束までしたわけじゃないけど、その言葉の意味と重さがどれだけの力を持ってるか。

バンドはいつなくなるか分からないと今日のライブでもKは言っていた。

そして、Kはその悔しさをよく知っている。

だからこそ、俺もいつかは…。

 


異世界で手に入れたONE ON ONEと書かれたプラスチックのケースをしっかり手に持って現実世界へ戻ってきた。

そこはたくさんの人がいて、どこかへ歩いていく。

その人混みの中に紛れて俺はアフターソングを小さく呟きながら、働いてるお店に入っていく。


平成最後の13日の金曜日が終わった。

 

 

 

 


Thanks.

 

 

 

 

 

 


P.S


これ、本人に見られてると思うとバカ恥ずかしい(笑)

本当にかっこよかったです。

あの瞬間を見れたのは誇りと言ってもいいぐらい。

怖くてトイレ行けないは笑いましたけど(笑)


本当にありがとうございます。


かっこいい人達がいる。

もう会えない人もいるけど、ちゃんと会える人もいる。

でも追っかけられる背中と、追いかけられない背中もある。

KさんがKさんを追っかけたように、俺も。

まあ、俺はKじゃなくてDだけど(笑)

 

んじゃまた。

 

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良い日だったなぁ。

って思い返してます。

歌ってた人は全然納得してなかったですけど(笑)

 

ツアーどこか行きますと言ったものの、行く予定だったところが行けなくなってしまった。

後悔してます。

 

だがしかし!

今年はもう全部ついていく。

全部見届けます。

 

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確かこのときが初披露だったのかな。

素直に鳥肌が立ったよ。

あぁ、すげえ。

 

 

ボタン1つタップするだけでそこには良い音楽が待っているよ。

良かったらぜひ、聴いてください。

 STANDZ - Empty [Lyric Video]

 

 

 

Thanks.